株式投資から得られる利益には、譲渡益と配当金の2種類があります。
ところで譲渡益と配当金、どちらの利益も、税法上は「所得」とみなされます。「所得」には税金が課せられることが決まりなので、株式投資から得られる譲渡益や配当金も、もちろん課税対象。逆に、株式投資で損失が生じてしまった場合には、確定申告の際の「還付金」と同様に、支払い過ぎた税金が口座に返金されることも覚えておきましょう。
冒頭で「株式投資の譲渡益や配当金は課税対象となる」と説明しましたが、厳密に言うと、株式売買という行為に対して課税されることはありません。少しややこしいのですが、きちんと整理して理解しておきましょう。
ややこしい原因は、株式を「買う」という表現にあります。
私たちが一般に「買う」という言葉を使うとき、通常は「お金と引き換えに商品やサービスを消費する」行為を指します。消費するからこそ消費税が課せられます。
一方で株式を「買う」とき、私たちは商品やサービスを消費するわけではありません。消費しない以上、消費税は課せられません。
もちろん、株式を「売る」ときも、「売る」という行為自体に対して課税されることはありません。「売る」という行為ではなく、「売る」ことで生じた利益に対して課税されることになります。
ただし、株式の売買の際に支払う証券会社への手数料に対しては消費税が課せられます。
証券会社を経由して株式を買うことは、証券会社が提供するサービスを消費する行為。サービスを消費するための対価として手数料を支払う以上、その手数料には消費税が課せられることになります。
投資信託から得られる利益には、譲渡益と分配金の2種類があります。
各投資信託の取り決めにより、「半期に1度」や「毎月」などの頻度で分配金が支払われます。
投資信託の分配金には、「普通分配金」と「特別分配金」の2種類があります。「普通分配金」は課税対象となりますが、「特別分配金」は課税対象となりません。
分配金が支払われた後の投資信託の価格が購入時の価格以上の場合、支払われた分配金はすべて「普通分配金」となります。「普通分配金」は税法上の所得となるため、金額に対応した所得税や住民税が課せられることとなります。
分配金が支払われた後の投資信託の価格が購入時の価格を下回った場合、支払われた分配金のうち、下回った差額分が「特別分配金」となります。「特別分配金」には、所得税も住民税も課税されません。
たとえば分配金の総額が100円で、分配金が支払われた後の投資信託の価格が購入時よりも40円安くなっていた場合、100円の分配金のうち60円が「普通分配金」、残り40円が「特別分配金」と考えます。
サラリーマンや個人事業主などの場合、所得が高くなればなるほど、得税率が上がります(累進課税)。最大税率は45%です。
一方、株式や投資信託においても所得税が課せられますが、給与所得や事業所得とは違い、累進課税が適用されません。どれだけ大きな利益を出しても税率は一定です。
株式や投資信託、債券などで利益が出た場合、支払う税金は利益に対して20.315%。内訳は「所得税及び復興特別所得税」が15.315%、「住民税」が5%です。ざっくりと「利益の5%くらいが税金」と考えておけば良いでしょう。
なお利益ではなく、逆に損失が出てしまった場合には、同じ率で税金が還付されることになります。
譲渡益課税とは、株式や投資信託、不動産などの資産を売ったときの利益に対して課せられる税金のこと。キャピタルゲイン課税と言われることもあります。
貴金属やゴルフ会員権など売って利益を得た場合、これらの利益は総合課税の対象となります。
それに対して株式や投資信託を売って利益を得た場合、その利益は申告分離課税の対象となります。
土地や建物を売って得た利益も、同様に申告分離課税の対象となります。
株式の譲渡益が申告分離課税の対象である以上、給与から税金が天引きされることはありません。よって、原則として確定申告を通じて納税をすることになります。
確定申告が煩わしいと感じる方は、証券会社で「特定口座・源泉あり」の口座を開設しましょう。この口座を通じて株式の取引をすれば、口座内で自動的に納税や還付が行われるようになります。
配当課税とは、株式の配当金や投資信託の分配金に課せられる税金のこと。譲渡益税と同様に、配当金の金額に対して合計20.315%の税金が課せられます。
個人が受け取る配当金や分配金については、受け取った時点で、すでに所得税も住民税も源泉徴収されています。よって、確定申告を行ったり、証券会社で何らかの手続きをしたりなどの必要はありません。
ただし、配当控除の適用を受けたい人、譲渡損と配当との損益通算をしたい人などは、源泉徴収ではなく確定申告をしなければなりません。
会社員の場合、「給与所得以外の収入が年間20万円以内であれば、その収入に対する課税が免除される」という税法上の特例があります。
ところが、証券会社の口座が「特定口座・源泉あり」で取引した場合、取引のたびに税金が源泉徴収されるため、たとえ年間の利益が20万円以内だったとしても自動的に税金が引かれてしまいます。引かれてしまった税金を手元に戻すには、確定申告をするしかありません。とても面倒ですよね?
そこで利用したいのが、証券会社の「特定口座・源泉なし」の口座。株式取引で利益が出たとしても、自動的に源泉徴収がされないタイプの口座です。
「源泉徴収されないということは、確定申告が必要になるの?」と心配になる人もいるかもしれませんが、上記の通り、確定申告が必要になるのは、株式投資で年間20万円以上の利益が出た場合だけ。もし年間20万円以上の利益が出てたら確定申告しなければなりませんが、20万円以内なら何もやる必要はありません。
自分の投資金額や目標利益などに照らし、「特定口座・源泉あり」にするか「特定口座・源泉なし」にするかを検討してみるようにしましょう。
預貯金に滞っている資金を株式市場へと流入させることを主な目的に、政府は、2014年1月からNISAと呼ばれる税制優遇制度を実施しています。
NISAとは、株式や公募投資信託における譲渡益課税・配当課税が、一定の条件のもとで非課税になる制度。譲渡益課税や配当課税の税率は利益に対して20.315%なので、かりに投資で大きな利益が出た場合、NISAを活用していれば大きな節税効果が期待できるでしょう。
なお、あくまでもNISAは税金面で得をする制度です。よって、もともと税金を払う必要がない状況(株式投資などで損失が出てしまったとき)では、何らかの特典を得られるわけではありません。
NISAを大きく分けると「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類。それぞれの概要を確認しておきましょう。
年間120万円までの投資金額を上限に、譲渡益課税や配当課税が非課税となる制度のこと。非課税となる対象期間は最長5年。年間120万円×5年で、最大600万円までの投資資金であれば、かりに利益が出たとしても、課税されません。
株式のほか、上場投資信託(上場ETF)や公募投資信託などが一般NISAの対象となっています。
年間40万円までの取引額を上限に、譲渡益課税や配当課税が非課税となる制度のこと。非課税となる対象期間は最長20年。年間40万円×20年で、最大800万円までの投資資金をつみたてNISAに投入することができます。
基本的には、公募投資信託や株式の定額つみたて買付で活用されている制度です。
年間80万円までの取引額を上限に、譲渡益課税や配当課税が非課税となる制度のこと。非課税となる対象期間は最長5年。年間80万円×5年で、最大400万円までの投資資金から生まれる利益が非課税となります。
主な投資対象は、一般NISAと同じく、株式・上場投資信託・公募投資信託。なおジュニアNISAは、0~19才までの人しか利用できません。
税理士:有森 純先生
昭和47年群馬県伊勢崎市生まれ、神奈川県横浜市在住。平成7年に青山学院大学卒業後、佐々木哲夫税理士事務所(現在は税理士法人TOS佐々木会計)を経て、平成18年8月に神奈川県横浜市西区に事務所独立開業。
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