【コンテンツ執筆】
中島 翔先生
証券アナリスト、ファイナンシャル・プランナー
あおぞら銀行にてMBS（Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務を担当後、三菱UFJモルガンスタンレー証券にて外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。現在は各種金融情報記事の連載やアドバイザー、金融セミナー講師など、精通する金融業界の幅広い専門知識を活かして多方面で活躍中。
コロナショックを受けても全く下落しない株式市場ですが、金融緩和や大型な景気刺激策等様々な対策を各国が行った結果このような動きとなっています。
アメリカのNYダウも米国の大規模な経済対策によってコロナバブルとまで呼ばれるようになっていますが、NYダウはヒストリカルで見ると数十年右肩上がりで上昇しています。
ではNYダウがこれだけ下落しない理由は何故なのかをここで解説したいと思います。
まずNYダウの過去の値動きをご覧ください。
下記が1960年代からのNYダウのチャートです。
ご覧のように所々下落する局面はありますが、歴史的な流れから見ると全く下落せずに推移しているのがわかります。
一方日経平均株価はこのような動きをしておらず何故国の代表的な指数なのにこのように値動きに差が生まれるのでしょうか。
下記はNYダウと日経平均株価の比較チャートです。
右軸の騰落率を見ると、NYダウが1980年あたりから20倍以上になっているのに対して日経平均株価は2倍ちょっとの上昇幅となっています。
ではNYダウはどのようにして銘柄が決定されているのかを解説しましょう。
NYダウは米国の優良銘柄を30名柄のみ抽出してインデックス化したものです。
算出方法は各銘柄の株価をまず全て足していき、連続性を保つために除数で割って算出してます。
単純に序数で割っているだけなので「単純平均株価」です。
銘柄入れ替えについては、米国の金融紙ウォールストリートジャーナルの編集長や、ＮＹダウの所有権を持っているCME（シカゴマーカンタイル取引所、ダウジョーンズの調査担当者による協議で決定することになっており明確な基準は決められてないですが、その時々で優良と思われる銘柄を選定の上組み入れていくため、ここに右肩上がりのインデックスの秘密があります。
つまりNYダウはアクティブファンドのような要素を持っているとも言えるでしょう。
一方で日経平均株価は日本経済新聞社が独自の基準を設けて選定しており、採用銘柄の基準は、株式市場での売買高、産業分類間のバランスで基本的に大型銘柄が中心となります。
ここにNYダウとの大きなが違いがあるということです。
これから資産運用を行おうと思っている場合はNYダウの積立はかなり行いやすい運用の一つと言えるでしょう。
このように過去数十年間大きな下落を見せていないというのは銘柄入れ替えに秘密があり、アクティブファンドを低いコストで提供されているETFや投資信託はメリットが大きいと考えることもできます。
一度NYダウの動きをチェックしてどのような銘柄入れ替えが行われているのか詳細をチェックして、よりNYダウの背景を理解してみましょう。
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